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【アラベスク】  第17章 来し方の楔



すごく大雑把な [ あらすじ ]




  里奈(りな)の行動が校内で騒ぎとなって広がる中、里奈との関係をこのままにしてしまってよいのかとツバサに問われ、仕方がないと答えてしまう美鶴(みつる)(さとし)は迷惑だとばかりに唐草ハウスへ乗り込み、直接里奈へ抗議する。これ以上自分に関わるなと喚く聡の態度を不信に思った施設のスタッフが事情をツバサに知らせ、翌日にはツバサが聡を問い詰める。その様子を見ていた美鶴は、里奈に謝れと迫ってしまう。自分は何も悪い事はしていないはずなのに、なぜ自分が謝らなければならないのか納得のできない聡。ひょっとして美鶴は自分と里奈をくっつけようとしているのではないだろうかと疑ってしまう。卑屈に詰ってくる聡の態度に、そうではないと言い返しながらも心の隅では自分で自分を疑ってしまう美鶴。
 一方、明らかに何かを隠している態度のツバサを不信に思ったコウは、事情を知っているはずだと美鶴を問い詰める。知りたければ自分で調べろと言い返され、兄に会うために意を決して出掛けたツバサの後を追い掛ける。兄には出会えたものの門前払いをくらってしまったツバサを優しく励ますコウ。だが、実は今でもコウと里奈の関係を疑ってしまっていると言われ、自分がどういう態度をとればよいのか悩むコウ。結局、事情を知っている美鶴に相談するも、大した助言はもらえない。それどころか、頻繁に美鶴と会話を繰り返した結果、聡と瑠駆真(るくま)に問い詰められるハメに。ユンミからの電話でツバサの兄と霞流(かすばた)慎二(しんじ)をどうにかしてくれと頼まれた美鶴は、どういう事だと迫ってくる聡と瑠駆真も連れたままユンミに案内されて埠頭へ向かう。
 忘れたい過去を捨てて亡くなった織笠(りな)(りな)のために生きようとしていたのに、余計な事をしてくれるなと詰る魁流(かいる)に対して、お前は逃げているだけだと反論する慎二。鈴は卑怯極まりない人間だと非難する慎二に、魁流や、駆けつけたツバサは撤回しろと激しく迫る。だが、本当に他人を思いやる事のできる人間なら自殺などしないと言われ、返す言葉の無い魁流。
 鈴が亡くなって悲しかったのに、彼女の死を正当化させたいがためにその想いを押さえてきた魁流は、鈴の墓の前で初めて恨み言を吐露してしまう。そうして、前を向いて歩いていけるようになるまではここには戻らないと告げてその場を去る。
 同時にツバサとは和解し、実は自分の方が小さな人間だったと口にする魁流。そんな兄の態度に戸惑いつつも、兄に対しての劣等感から少しだけ開放されたツバサ。自分はまだまだだけど、これからはもっと自分に自信を持って生きていこう、言いたいことがあるなら結果を恐れず口にしてみようと決意する。そんな彼女の態度に呆れつつも、どこかで羨ましくも思っている美鶴。
 自分の問題はまったく解決していないのにどうして安堵しているのか。うんざりする美鶴だが、収穫がなかったワケではない。ツバサの兄を前に、いつになく饒舌になっていた慎二の姿。他人になど興味はないといった態度を取り続けてきた彼にしては珍しい。ひょっとして霞流さんは、昔のままの霞流さんの心をまだどこかに残しているのではないだろうか。だとしたら昔の、まだ心優しかったころの彼に戻す事はできるのかもしれない。そうしたら私の想いが届く事だってあり得るのかも。
 吹っ切れたようなツバサの姿に、いつかは自分も、と、微かな希望を持ってしまう美鶴なのでした。







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